前回に引き続き、モスローズ。
クレステッド・スイートハート Crested Sweetheart
アメリカ 1988
Ralph S. Moore 作出
"Crested" (クレステッド)というのは、「とさか」とか「たてがみ」などの意味があるので、この花を囲むパセリのような萼片を覆う腺毛の形状からきている名前かと思います。
この腺毛を指でこするとバルサムのような香りがするとありました。
バルサムとは、樹木から分泌される樹液のことで、松脂とか針葉樹の香りに近いみたい。
ウーパールーパーみたいな奇妙な姿だけれど、妙に味わいがあって、なんだか見ているうちに愛着が湧いてきました。
このバラ、葉っぱも独特です。
バラは花につい目が行ってしまうけれど、よく見ると葉っぱもそれぞれ個性がありますね。
作出者の Ralph S. Moore氏は、以前紹介した「カフェ・オレ」を作出した「ミニチュアローズの父」と呼ばれている方。
102歳と長寿で、100歳の時も現役のガーデナーだったそうです。
似たようなハイブリッドティー(四季咲きの大輪花)ばかりが作出される業界には背を向け、自分の道を突き進みました。
売れ線を狙った利益を上げるための交配を嘆き、ローズ・ショウなどに出品される大輪のバラのことを ユーモアたっぷりに "cabbages on a stick"(串に刺さったキャベツ)と呼んだりしていたそうです。
次回は、Ralph S. Moore氏のもう一つのモスローズを紹介します。