Portraits of Roses

横浜イングリッシュガーデン(YEG)のバラを中心に様々なバラを紹介します

ゲーテ Goethe

若き日に薔薇を摘め

 

「トゲあってこそバラ」という意見もありますが、こちらのバラのトゲ(正確には腺毛)だらけの姿はちょっと異様な雰囲気。

 

ゲーテ Goethe

ドイツ 1911年
Peter Lambert 作出

つぼみから茎にかけて、まるで苔(モス)が生えているよう。
ケンティフォリアローズの枝変わりと考えられ、その姿から、「モスローズ」と呼ばれています。

名前の「ゲーテ」は、ドイツの文豪のヨハン・ヴォルフガング・ゲーテにちなんでつけられました。
ゲーテは、『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』など、詩・戯曲・小説の創作のほか、自然科学研究でも知られています。
恋愛遍歴も色々伝わっており、その逸話からは、少々ダメンズのニオイが。「恋してる状態の自分が好き」みたいな?
よく知らないので、ただの憶測ですが。
女性への執着心が強いのに、いざ結婚となると尻込みしたり、74歳の時に19歳の女性に結婚を申し込んでみたり。
本人は恋が成就しようが、失恋しようが、創作に昇華してしまうのでいいけれど、女性側としてはどうだったのかな?

 

かわいらしい花です。「文豪」というイメージからはちょっと遠い感じ。
ゲーテにちなむバラは他にもあって、「ゲーテ・ローズ」というドイツのタンタウ作出のバラは、花弁も多く、大ぶりで、紫がかった濃いピンク色。「文豪」イメージに合ってるかな。

 

参考↓ 

「ゲーテ・ローズ」 四季の香ローズガーデンにて
「ゲーテ」から100年後の2011年作出

 

ところで、「若き日に薔薇を摘め」というのは、瀬戸内寂聴さんのエッセイか何かで読んだ言葉で、その意味するところは、「バラを摘み取る時にトゲで傷ができたとしても、若ければじきに治る。そのように若い時なら、心が傷つくような体験をしてもいずれ癒される。しかし歳を取ってからではそうはいかない。だから、若いうちに傷つくことを恐れずに行動せよ」ということかと思います。

 

元は、イギリスの詩人ロバート・ヘリックの詩の一節とあったりするのですが、意味合いはちょっと違うように思います。

詩のタイトルは "To the Virgins, to Make Much of Time" 
「乙女たちへ、時間を大切に」

冒頭の一節が「若き日に薔薇を摘め」と似通っています。

Gather ye rosebuds while ye may.
「摘めるうちにバラのつぼみを摘みなさい」

締めくくりは、
And while ye may, go marry:
For having last but once your prime,
You may forever tarry.

「そして、できるうちに結婚しなさい。最盛期はただ一度きり、逃せば手遅れとなる。」というような意味かと。
う〜ん、今こんなことを言うとちょっとね・・・


とはいえ、やっぱり若い時にしかできないことはたくさんあるし、老いが奪っていくものもたくさんあります。(近頃実感することばかりで・・・)

これはまた、さらに現実的なことだけれど、お金(投資)についての話の中で聞いた言葉。
「リスクを取らないことが最大のリスクである」
これって、投資の話だけでなく、人生においてもですね。
(これまでの人生、リスク回避に汲々としてきました ^^;)

 

ゲーテは、年老いても、傷つくのも構わずバラを摘む人。
こんな言葉も残しています。

"Whatever you do, or dream you can do, begin it.
Boldness has genius, power and magic in it."

あなたにできること、あるいはできると夢見ていることがあれば、今すぐ始めなさい。
向こうみずは天才であり、力であり、魔法です。