コロコロとした花姿がなんともかわいらしいですね。
珠玉 syugyoku
日本 2007年
河合伸志 作出
この「珠玉」は河合伸志氏による作出ですが、「マザーズデイ」というバラの枝変わり。
「枝変わり」というのは、突然変異で出てきた新しい花色や形質をもつ枝を接木や挿木で増やして、その変化を定着させ、新品種とすることを言います。
木立性からつる性が出たり、花びらの数や色が変わったりなど色々な場合があるそう。
「珠玉」の元になった「マザーズデイ」というバラは、「ディックコスター」というバラの枝変わりで、「ディックコスター」は「タウゼントシェーン」の枝変わりだそう。
で、「珠玉」の枝変わりで、「紅玉」というのもあるんです。
枝変わりの枝変わりの枝変わりの・・・
「紅玉」も河合伸志氏の作出(2016年)。
↓ こちらは、東京競馬場のバラ園で咲いていた紅玉。
横浜の山下公園では、「珠玉」と「紅玉」が混ぜ植えされていました↓
横浜イングリッシュガーデンでも、珠玉が枝垂れている中に、珠玉よりさらに明るい色のバラが混じっていました。
「珠玉」の名札しか見当たらなくて。こちらは、また別のバラなのかな?
「マザーズデイ」にもピンクマザーズデイ、レッド〜、ホワイト〜、スウイート〜、オレンジ〜と色々あります。
花色の違う枝変わりのバラを一緒に植えると、樹勢や開花タイミングが同じになるので、華やかに咲かせることができるんですね。
ところで、「珠玉」というと、思い出すのが・・・学生の頃に出た課題。
ある文学作品を取り上げ、この作品を今、本として出版するとして、本にかける帯(本のカバーの上に巻いてある広告文が載っている細い紙)の文言(コピー)を考えるというものでした。
なんの作品だったのか忘れてしまったけれど、現代作家のものではなかったと思います。
私は帯コピーの締めくくりに「・・・・・珠玉の名作!」と書いたのでした。
いっぱしの編集者気取り? まぁ、「ちょっと知ってるぞ」って感じで書いたんだと思うけど、あとになって、全く方向違いというか、そんな手垢にまみれたような決まり文句を求められていたのではなくて、ハッとする現代感覚の言葉、読者をグッと惹きつけるような斬新さのあるコピーが求められていたんだと気づきました。
古い作品でも視点を変えて読み解けば、そこに新鮮さや驚き、発見があるはずということ。アホでした。
今、書店で、帯に「珠玉の短編」なんて書いてあるのを見たら、つまり何も言ってないのと同じで、編集者の手抜きに思えてしまうかも。
「珠玉」の本来の意味は、真珠と宝石のことで、「小さくて、すばらしいもの、美しいもの」に対して使うのが正しいそう。だから大きなもの、堂々としたものには使えない、長編に〝珠玉の名作〟ではおかしなことになってしまいます。
コロンとした玉のような花姿の「珠玉」、まさに小さく、すばらしく、美しい! バラのネーミングとしては秀逸ですね。