Portraits of Roses

横浜イングリッシュガーデン(YEG)のバラを中心に様々なバラを紹介します

空蝉 Utsusemi

源氏を振った女

 

しばらく素朴なバラが続いたので、今回は少し華やかなバラを。

8月あたまに訪れた横浜イングリッシュガーデン、セミが盛んに鳴いていました。
あちこちでセミの抜け殻も見かけました。

セミの抜け殻=空蝉と言ったら、『源氏物語』の空蝉の君のエピソードが浮かびます。
源氏の求愛から逃れるために、衣一枚を脱ぎ捨てて去った女。
源氏はその衣を持ち帰って、抜け殻のような衣に寄せて歌を詠んで女に贈ったのでした。

空蝉の君は、美人ではないけれど、立ち居振る舞いが美しく、趣味もよい女性。
自分の想いに応えてもらえなかったのもあって、源氏にとっては忘れ難い女人となりました。

空蝉の君は、源氏に惹かれていたけれど、身分や立場をわきまえ、源氏の想いに応えなかったのでした。
空蝉の君と原作者の紫式部の境遇や身分が似ているので、紫式部自身をモデルにしているのではないかと言われているそうです。

今、放映中の紫式部を主人公にした大河ドラマ『光る君』を「その設定、あり得ない〜」と思いつつも見ています。少女漫画チックだけど、ムサい(イケメンでも)男どもがわめき散らす戦国ものや幕末ものにうんざりなので、陰湿に呪詛とかしていても全然いい。なかなか楽しく見ています。

空蝉  Utsusemi

日本 2011年
河合伸志 作出

オレンジ色とピンクが混じりあって、華やかながら渋さもあり、アンティーク、ノスタルジックな雰囲気のある、すてきなバラですね。

名付けは、やはり『源氏物語』の空蝉に由来するそうです。