Portraits of Roses

横浜イングリッシュガーデン(YEG)のバラを中心に様々なバラを紹介します

マリー・キュリー Marie Curie IYC 2011

アーチに咲くマリー・キュリー(YEG)

このバラが、YEGにあるのは知っていたのですが、早咲きなのでタイミングを逃し、良い状態の花に出会えませんでした。
今年、ようやく撮影ができました。
ローズ&ペレニアルガーデンに出入りするアーチに配されています。

 

マリー・キュリー Marie Curie IYC 2011

2011年 日本
河合伸志 作出

 

バラの名前となった「キュリー夫人」の呼び名で知られる、マリー・キュリー(1867-1934)はノーベル賞を2度受賞(物理学賞1903年、化学賞1911年)した物理学者・化学者です。

ポーランドで生まれ育ち、フランスの大学で学び、研究者のピエール・キュリーと出会い、結婚。夫婦で放射線の研究に取り組みました。
その生活は楽なものではなく、研究のための設備や資金にも恵まれず、多くの苦労があったようです。
1906年には夫を交通事故で亡くすという不幸に見舞われますが、夫・ピエールの後を継いでパリ大学で初の女性教授となりました。
その後も女性差別やマスコミの誹謗中傷などを受けながらも、数々の業績を上げ、レントゲンの普及などにも努めました。

マリー・キュリーの名前を冠したバラは他にもあります。
フランス・メイランド社のオレンジ・ピンク系のバラ「Marie Curie」や、Jean-Marie Gaujard 作出の黄色いバラ「Madame Marie Curie」、アラン・メイランドによる、うっすらとピンク、クリームがかかる白バラ「White Marie Curie」。

それぞれ美しいバラですが、マリー・キュリーのイメージには毅然としたこの白バラが一番合うような気がします。

 

名前につく、IYC 2011 とは、Internarional Year of Chemistry の略号で、2011は年号。
マリー・キュリーのノーベル化学賞受賞から100年目、また国際純正・応用化学連合(IUPAC)設立100周年にあたることから" 世界化学年 " とされた年です。

 

作出者の河合伸志(かわい・たかし)氏は、横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザーとして、園内のディレクションをなさっています。また、バラの新品種の育種や庭園プランニング・デザイン、管理指導なども手がけておられます。

この河合氏作出のバラ「Marie Curie IYC 2011」という名前はマリー・キュリーのお孫さんにあたるエレーヌ・ランジュバン・ジョリオ博士がつけたものだそうです。

 

後ろ姿にも気品が漂う

 

こちらのエリア「ローズ&ペレニアルガーデン」は白バラを主役に、白花の宿根草や白斑入りの葉の植物などを組み合わせたホワイトガーデンといった趣になっています。

↑ 背景に見える花真っ盛りの木は、塀の向こう側の「ときめきガーデン」エリアに植えられているのですが、この時期は手前の庭と一体となって、ホワイト感を増量しています。

 

沸き立つように花が咲いて見えるこの木は、モクセイ科の「アメリカヒトツバタゴ」。
ナンジャモンジャノキと言われるヒトツバタゴと思っていましたが、別種なんだそう。
花の期間はそんなに長くありません。

この時期、YEGの園内は1日経ったら、もう前日とはすっかり様子が違うと言っていいくらい、花々が次々に盛りを迎え、移り変わっていきます。