バラには人名に由来する名前がついたものが多くありますが、教養が欠けている上に、記憶力も衰えて、名前を見ても「?」となることもしばしば。
今年はそんな「どちら様?」なバラを「ちょっとした顔見知り」くらいにしていきたいと思います。
アウグスタ・ルイーゼ Augusta Luise
ドイツ 1999年
Hans Jürgen Evers 作出
バラの名前の元となった人物、アウグスタ・ルイーゼ(伯爵夫人 Augusta Louise zu Stolberg-Stolberg 1753-1835)は、ドイツの文豪ゲーテ(1749-1832)の文通相手だった人です。
アウグスタ・ルイーゼの兄、クリスティアンとフリードリッヒはゲーテの友人でしたが、アウグスタ・ルイーゼは彼らの妹としてではなく、匿名で「若きウェルテルの悩み」について、ゲーテに手紙を書いて送りました。
以後、二人の間で多くの手紙が交わされました(1775~1783)。
しかし、二人は生涯、直接会うことはなかったそうです。
アウグスタ・ルイーゼは、1783年にデンマークの政治家アンドレアス・ペーター・ベルンシュトルフ(Andreas Peter von Bernstorff 1735-1797)と結婚します。
夫となった人は、姉ヘンリエッタが結婚した相手でした。姉は10人の子供を残して1782年に亡くなりました。その翌年に結婚。
アウグスタ・ルイーゼと夫との間に生まれた唯一の子供は、わずか4歳でこの世を去りました。
1797年に夫が亡くなった後は、親戚のもとで、様々な場所に住み、友人や親戚、文通していた人(ゲーテ以外にも文通していた)などと旧交を温め、また新しく出会った人との関係を築くのにも熱心だったそうです。
この華やかなバラが捧げられたように、知的で社交的な方だったのでしょうね。
このバラは、ゲーテ生誕250周年を記念して、ドイツのタンタウから発表されました。
作出者のHans Jürgen Evers氏(1940-2007)は、ハノーバー工科大学で学び、1963年にタンタウに入社、1985年にマティアス・タンタウから会社を引き継ぎました。