赤みを帯びた葉や茎とオレンジ色の花が秋はいっそう印象的なバラ。
レディ・エマ・ハミルトン Lady Emma Hamilton
イギリス 2005年
デビッド・オースチン作出
軽井沢レイクガーデン(2024.10)↓
北海道・十勝ヒルズ(2024.10)↓
軽井沢・タリアセン(2023.9)↓
レディ・エマ・ハミルトンは、イギリス海軍のネルソン提督の愛人として知られる人。
ネルソン提督が勝利へと導いたトラファルガーの戦いから2005年で、200周年を迎えたことを記念して名付けられたそうです。
エマ・ハミルトンは、生後2ヶ月で父が亡くなり、10代に入ってまもなく、メイドとして働き始めました。
その後、ロンドンへ出て、メイド、ダンサーなどをしましたが、その美貌に目を留めた裕福な男たちの愛人となり、ついには、貴族ウィリアム・ハミルトンと結婚。レディの称号を手に入れました。
結婚していながらネルソン提督と恋に落ち、夫もそれを容認したので、奇妙にも見える三角関係は世間の注目を集めたそうです。
やがて夫が亡くなり、ネルソン提督もトラファルガーの海戦で負った傷が元で亡くなると、エマは後ろ盾を失い、借金に追われ、フランスへ逃亡。アルコール依存症となって、49歳で亡くなりました。
チャールズ・グレビルという男の愛人だった時に、グレビルが画家のジョージ・ロムニーに肖像画を依頼したのがきっかけで、画家もエマに夢中になり、エマをモデルにした絵が多数描かれました。
肖像画で見ると、近寄りがたい冷たい美人ではなく、肉感的でどこか温かみが感じられる雰囲気。
その美しさで、男たちのお飾りとして利用された側面もありますが、画家のインスピレーションを掻き立てるミューズとなり、自ら考案したパフォーマンスで人々を魅了しました。
「貧しい出自から美貌を武器に、のし上がったものの、最後は没落、破滅した人生」と言ってしまえばそれまでですが、戦争で片目と片腕を失ったネルソンを献身的に介抱するうちに恋に落ち、経済的に苦しくなってからも、頼ってきた縁者を無下にはできなかった。
受動的に見えて、能動的? モラルに欠けているようで、情に厚く、尽くすタイプ?
何にしてもドラマチックな波乱万丈人生です。
実際、『風と共に去りぬ』で有名な女優・ビビアン・リーがエマを演じた映画『美女ありき』という作品があり、ネルソン提督役は実生活でダブル不倫の末に結婚したローレンス・オリヴィエが演じました。
横浜イングリッシュガーデン(2024.5)↓
横浜イングリッシュガーデン(2024.11)↓
画家ジョージ・ロムニーはエマの絵を60点以上も描いたそうですが、バラのレディ・エマ・ハミルトンもつい何枚も写真を撮りたくなってしまう魅力があります。